こんにちは。我が家に植えたい庭木ナビ 運営者の「toki」です。春の訪れとともに鮮やかなピンク色の花を咲かせ、夏には甘くてジューシーな果実を実らせてくれる桃の木。そんな魅力あふれる果樹を、自分の庭で育ててみたいと憧れる方は多いですよね。しかし、いざ植えようと調べ始めると、「桃の木を庭に植えてはいけない」という気になる噂や、風水や縁起に関する様々な言い伝えを目にして、不安を感じてしまうこともあるかもしれません。また、実際に育てるとなると、大きく育ちすぎてしまわないか、剪定や害虫対策などの手入れは難しくないか、あるいは鉢植えでもちゃんと実がなるのかなど、疑問は尽きないものです。そこで今回は、桃の木の由来や庭木としての特徴といった基礎知識から、限られたスペースで小さく育てるための具体的なコツ、そして美味しい実を収穫するための摘果や袋掛けの手順まで、桃の木のある暮らしを実現するための情報を網羅的に解説していきます。
記事のポイント
- 桃の木にまつわる風水的な意味や「植えてはいけない」と言われる理由の真偽
- 庭植えと鉢植えそれぞれのメリットと、初心者でも失敗しない植え付けの手順
- 限られたスペースでも楽しめる小さく育てるための品種選びと剪定テクニック
- 美味しい実を収穫するために欠かせない摘果や袋掛けなどの具体的な作業工程
桃の木を庭に植える前に知るべきこと
桃の木の由来と庭木としての特徴
桃の木(学名:Amygdalus persica)は、バラ科モモ属に分類される落葉小高木で、そのルーツは中国の黄河上流にある高山地帯にあるとされています。中国では3000年以上前から栽培されていた記録があり、そこからシルクロードを通ってペルシャ(現在のイラン)へ、そしてヨーロッパへと伝播していきました。学名の「persica」は「ペルシャの」という意味を持ちますが、これはヨーロッパの人々が桃をペルシャ原産の果物だと誤認していた名残だと言われています。
日本においても桃の歴史は非常に古く、弥生時代の遺跡である纏向遺跡(奈良県)などから多数の桃の種が出土しています。古事記や日本書紀にも登場し、イザナギノミコトが黄泉の国の追手から逃れるために桃の実を投げつけたという神話はあまりにも有名です。このように、桃は単なる果樹としてだけでなく、神聖な力が宿る特別な植物として、日本人の精神文化に深く根付いてきました。
(出典:Wikipedia『モモ』)
庭木としての3つの多層的な価値

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現代の庭づくりにおいて、桃の木は以下の3つの側面から非常に高い評価を得ています。
- 春の観賞価値(花):3月下旬から4月上旬にかけて、梅の後、桜の前に開花します。その花色は濃いピンクから淡いピンク、白、そして一本の木に赤と白が咲き分ける「源平咲き」など多様です。「ハナモモ」と呼ばれる観賞用の品種群は、八重咲きや枝垂れなど、圧倒的な華やかさで春の庭を彩ります。
- 夏の収穫の喜び(実):果樹栽培の醍醐味は、何と言っても完熟果実の収穫です。桃は追熟(収穫後に熟させること)しにくい果物であり、樹上で完熟した桃のとろけるような甘さと芳醇な香りは、栽培した人だけが味わえる特権です。また、自分の庭で育てた無農薬あるいは減農薬の桃は、皮ごと安心して食べられるという安心感もあります。
- 精神的な機能(守護):前述の通り、桃には「魔除け」や「厄除け」の力があると信じられてきました。庭に桃の木があることで、家族を災いから守ってくれるという精神的な安寧(安心感)を得ることができます。これは、現代のストレス社会において、庭が癒しの空間として機能するために重要な要素と言えるでしょう。
最近では、庭を「見る場所」から「収穫して楽しむ場所」へと進化させる「エディブル・ランドスケープ(食べられる景観)」という考え方が広まっています。桃の木は、美しい花と美味しい実の両方を提供してくれるため、このコンセプトに最も適した樹木の一つと言えるのです。
桃の木は庭に植えてはいけない?
「桃の木を庭に植えてはいけない」という不穏な言葉を耳にして、植栽を躊躇してしまう方は少なくありません。せっかく楽しみにしていたのに、悪いことが起きるかもしれないと言われれば不安になるのは当然です。しかし、結論から言えば、これは科学的な根拠のない迷信や、過去の生活環境における「戒め」が形を変えて伝わったものがほとんどです。現代の住環境や栽培技術においては、心配する必要は全くありません。

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では、なぜそのような噂が生まれたのでしょうか。その背景には、いくつかの理由が考えられます。
1. 「家が傾く」という言い伝えの真意
昔から「実のなる木は庭に植えるな」と言われることがありますが、その代表例が桃です。これには、桃の木の成長スピードが関係しています。桃は成長が非常に早く、根を広く張って土壌の養分を大量に吸収します。昔の家屋は基礎が今ほど強固ではなかったため、庭木の根が家の基礎を持ち上げたり、他の庭木の栄養まで奪って枯らしてしまったりすることを懸念したのです。また、「子供が木に登って怪我をする」「美味しい実に夢中になって家業をおろそかにする」といった教育的な戒めが含まれていたとも考えられています。
2. 害虫や病気のリスク
桃は甘くて美味しい果実をつけるため、どうしても虫が集まりやすくなります。アブラムシやコスカシバ、カイガラムシなどが発生すると、見た目が悪くなるだけでなく、駆除の手間がかかります。また、落ちた実が腐敗して悪臭を放ったり、ハエやスズメバチを寄せ付ける原因にもなります。昔の衛生環境では、これらの問題が「不浄」や「疫病」と結びつけられ、忌避される要因になった可能性があります。
現代的な解釈と解決策
現代の住宅は基礎がコンクリートでしっかりとしており、木の根で家が傾くことはまずありません。また、剪定技術によって木の大きさをコントロールしたり、適切な病害虫防除(IPM)を行うことで、虫のリスクも最小限に抑えることができます。「植えてはいけない」のではなく、「植えるならしっかりと管理をする覚悟が必要」という先人の教えとして受け取るのが正しい解釈でしょう。管理された美しい桃の木は、むしろ庭の格を上げ、生活に彩りを与えてくれる存在です。
桃の木を庭に植える風水と縁起
風水や縁起の観点から見ると、桃はネガティブな噂とは対照的に、「最強の吉木」として扱われています。中国思想において、桃は「仙木(せんぼく)」と呼ばれ、その実(桃)は不老長寿の薬とされてきました。西王母(せいおうぼ)という女神が管理する桃園の桃を食べると長生きできるという伝説は有名ですし、日本でも「桃太郎」が桃から生まれて鬼(邪気)を退治するように、桃には強力な「陽」のエネルギーが宿っていると考えられています。
風水では、植物を配置する「方位」が重要視されます。桃の木を庭のどこに植えるかによって、そのエネルギーの働き方が変わるとされているのです。主な方位と意味合いを詳しく見ていきましょう。

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| 方位 | 風水的解釈・意味 | 植物生理学的・現代的なメリット |
|---|---|---|
| 東(大吉) | 東は五行で「木」の方位であり、桃の持つエネルギーと共鳴します。若さ、発展、健康運を司り、家族に元気と活力を与えるとされます。「三碧木星」の定位置でもあります。 | 東側は朝日がたっぷりと当たる場所です。植物の光合成は午前中に最も活発に行われるため、東日は桃の健全な成長に不可欠です。樹勢が強くなり、病気にかかりにくくなります。 |
| 東南(吉) | 「風」の方位であり、良縁、人間関係の調和、商売繁盛をもたらします。香りの良い花や実をつける木を植えることで、良い知らせ(風)を運んでくると言われています。 | 日当たりと風通しの両方が確保しやすい特等席です。湿気がこもりにくいため、桃の大敵であるカビ系の病気(縮葉病や灰星病)や、蒸れを好む害虫の発生を抑制できます。 |
| 北東(吉・鬼門) | 北東は「鬼門」とされ、邪気が出入りする不吉な方位とされますが、魔除けの力を持つ桃をあえてここに植えることで、「鬼門封じ」として家を守る役割を果たします。 | 北東は寒風が吹き込む方位ですが、桃は比較的耐寒性が強い果樹です。ここに植えることで、冬の冷たい風が直接家に当たるのを防ぐ「防風林」的な効果も期待できます。 |
| 西(凶) | 西は五行で「金」の方位です。「金は木を切る(金剋木)」という相克関係にあるため、桃の木が弱ったり、金運が下がったり、「女性が遊び呆ける」などの悪い伝承があります。 | 西日が強く当たる場所は、夏場に極度の高温乾燥状態になります。乾燥を嫌う桃の木にとって過酷な環境であり、葉焼けや水切れによる実の落下、樹勢の衰退を招きやすいです。 |
| 北(凶) | 北は「水」の方位で「水生木」と相性は悪くないはずですが、冷え込みが厳しく、「陰」の気が強すぎるため、陽の木である桃のエネルギーが活かされないとされます。 | 日照時間が圧倒的に不足します。桃は日光を好む陽樹なので、北側に植えると徒長(ひょろひょろに伸びる)し、花付き・実付きが極端に悪くなります。ジメジメして根腐れの原因にも。 |
このように、風水的な「吉」とされる方位(東・東南)は、植物生理学的にも桃の生育に適した環境と一致しています。つまり、風水は単なる占いではなく、長い年月をかけて蓄積された「環境学」の知恵とも言えるのです。これから植える方は、ぜひ「東〜南側の日当たりの良い場所」を選んであげてください。それが桃にとっても、ご家族にとっても最善の選択となるでしょう。
桃の木を庭に植えている人の口コミ・感想レビュー
実際に桃の木を庭に植えて生活している先輩ガーデナーたちは、どのような体験をしているのでしょうか。私の周りの園芸仲間や、SNS、園芸コミュニティなどで見られるリアルな声を収集し、傾向を分析してみました。良い面だけでなく、苦労している点も含めてご紹介します。
喜びの声・ポジティブな感想
- 花への感動:「春になると窓から濃いピンクの花が見えて、本当に心が躍ります。桜よりも花期が長く、色が鮮やかなので、庭がパッと明るくなります。近所の方からも『きれいですね』と声をかけられるのが嬉しいです。」
- 味の格別さ:「スーパーで買う桃は硬かったり、甘みが足りなかったりすることがありますが、庭で完熟させてから収穫した桃は別次元の甘さです。果汁が滴るほどのジューシーさは、育てた人だけの特権だと思います。」
- 家族の思い出:「子供が生まれた年に記念樹として植えました。子供の成長と共に木も大きくなり、毎年一緒に収穫するのが家族の恒例行事になっています。子供も『うちの桃が一番おいしい』と言って野菜や果物に興味を持ってくれました。」
苦労している点・ネガティブな感想
- 虫との戦い:「覚悟はしていましたが、やはり虫がつきます。特に新芽にびっしりつくアブラムシと、幹に入り込むコスカシバには手を焼いています。無農薬にこだわりたかったのですが、最低限の消毒は必要だと痛感しました。」
- 剪定の難しさ:「成長が早すぎて、一年で枝がものすごく伸びます。冬に思い切って剪定しないと、ジャングルのようになってしまいます。最初はどこを切ればいいか分からず、プロの動画を見て勉強しました。」
- 落果の悲しみ:「収穫直前の台風で、袋掛けした実がたくさん落ちてしまった時は泣きそうになりました。自然相手なので仕方ないですが、支柱をしっかり立てるなどの対策が重要だと学びました。」
総じて言えるのは、「手入れの手間は確実にかかるが、それに見合うだけの大きな喜び(美しい花と美味しい実)がある」ということです。植えっぱなしで放置できる木ではありませんが、手をかければかけるほど応えてくれる、愛着の湧く木であることは間違いなさそうです。
桃の木を庭で育てるための栽培ガイド
基本的な桃の木の植え方
桃の木の栽培において、最初のステップである「植え付け」は、その後の生育を左右する最も重要な工程です。ここで失敗すると、何年経っても実がならなかったり、木が弱ってしまったりします。ポイントは「場所選び」と「植え方」の2点です。
1. 植え付け場所の選定
桃は「陽樹」の代表格であり、日光が大好きです。日照時間が不足すると、枝が弱々しくなり、花芽がつきにくくなります。また、光合成不足は果実の糖度にも直結します。庭の中で、午前中から午後にかけて長時間直射日光が当たる、最も条件の良い場所を用意してあげましょう。また、水はけ(排水性)も重要です。桃の根は酸素要求量が高く、水没するとすぐに窒息して根腐れを起こします。雨が降った後にいつまでも水たまりができるような場所は避けるか、土壌改良を行う必要があります。
2. 植え付けの適期
桃の苗木は、葉が落ちて休眠している冬の間に植え付けます。具体的には11月から3月頃(寒冷地では雪解け後の3月〜4月)が適期です。この時期に植えることで、春の芽吹きまでに根が土に馴染み、スムーズに成長を開始できます。
3. 地植えの具体的な手順

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以下の手順で、丁寧に植え付けていきましょう。
- 穴を掘る:購入した苗木の根鉢(根が土を抱えている塊)の直径の2倍、深さも2倍程度の穴を掘ります。大きめの穴を掘ることで、周囲の土を柔らかくし、根が伸びやすくします。
- 土づくり:掘り上げた土に、腐葉土や完熟堆肥を約3割混ぜ込みます。さらに、苦土石灰を少量混ぜて酸度を調整し、元肥として緩効性の肥料(マグァンプKなど)を規定量混ぜておくと理想的です。粘土質の土壌など水はけが悪い場合は、川砂やパーライトも混ぜ込みましょう。
- 高植えにする:穴に土を戻し、苗木を植えますが、ここで周囲の地面より少し高くなるように土を盛り上げて植える「高植え」にします。これにより、根元の水はけが良くなり、根腐れのリスクを大幅に減らせます。
- 浅植えの徹底(最重要):桃の苗木は通常「接ぎ木苗」です。台木と穂木のつなぎ目(接ぎ木部分)が、必ず地表面よりも上に出るように植えてください。これを土に埋めてしまうと、穂木から根が出て台木の性質が失われたり、接ぎ目から雑菌が入って枯れたりする原因になります。
- 支柱と水やり:植え付け直後は根が張っておらず不安定です。風で揺れると細い根が切れてしまうため、支柱を立てて苗木を固定します。最後に、バケツ一杯分の水をたっぷりと与え、土の隙間を埋めて根と土を密着させます(水極め)。
桃の木の育て方と年間管理

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無事に植え付けが終わったら、そこからは日々の管理が始まります。桃の木は「肥料食い」と呼ばれるほど多くの養分を必要としますし、乾燥にも過湿にも敏感です。季節ごとのケアをルーティン化して、木の健康を維持しましょう。
水やりの基本ルール
地植えの場合、根付いてしまえば(植え付けから1ヶ月程度経過後)、基本的には自然の雨だけで育ちます。しかし、近年のような猛暑の夏に、何日も雨が降らず土がひび割れるほど乾燥している場合は、朝の涼しいうちか夕方にたっぷりと水を与えてください。水切れを起こすと、葉がしおれるだけでなく、せっかく大きくなりかけた実がボロボロと落ちてしまう(生理落果)ことがあります。
施肥プログラム(肥料のやり方)
美味しい桃を毎年収穫するためには、適切なタイミングでの栄養補給が欠かせません。以下の年3回が基本のタイミングです。
- 2月(元肥・寒肥):春の開花と新芽の展開に向けたエネルギー源です。ゆっくりと効く有機質肥料(油かす、骨粉、鶏糞など)を、枝の先端の真下あたり(根の吸収根がある場所)に穴を掘って埋めます。
- 5月(実肥・追肥):細胞分裂が活発になり、果実の核(種)が固まる時期(硬核期)です。木が多くの体力を消耗するため、速効性のある化成肥料を与えて成長をサポートします。ただし、窒素分が多すぎると枝ばかり伸びて実が落ちやすくなるので、リン酸やカリウムを含むバランスの良い肥料を選びましょう。
- 10月(お礼肥):収穫が終わり、来年のための花芽を作る準備期間です。「今年もありがとう、来年もよろしく」という感謝を込めて、速効性肥料または有機肥料を与え、樹勢を回復させます。
病害虫の予防と対策

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桃栽培で避けて通れないのが病害虫です。特に以下の3つには注意が必要です。
- 縮葉病(しゅくようびょう):春先に葉が赤く膨れて縮れる病気です。発芽前(2月頃)に「石灰硫黄合剤」などを散布することで予防できます。発症した葉は元に戻らないので、見つけ次第摘み取って焼却処分します。
- コスカシバ:幼虫が幹の樹皮下に入り込み、内部を食い荒らします。幹からヤニ(樹脂)が出ていたら侵入のサインです。針金などで穿り出して捕殺するか、専用のスプレー殺虫剤を穴に噴射します。
- アブラムシ:新芽に群生して汁を吸います。見つけ次第、ブラシで払い落とすか、粘着テープで取り除きます。大量発生した場合は薬剤散布も検討します。
桃の木を鉢植えで楽しむ方法
「庭がないから」「転勤があるから」といった理由で地植えができない方には、鉢植え栽培がおすすめです。桃は鉢植えでも十分に結実しますし、移動ができるという大きなメリットがあります。台風の時に室内に避難させたり、開花時期にリビングから見える場所に置いたりと、フレキシブルに楽しめるのが魅力です。
鉢植え栽培の成功ポイント
- 鉢の選び方:通気性と排水性が良い「スリット鉢」や素焼き鉢が適しています。苗木の場合は6〜8号(直径18〜24cm)から始め、成長に合わせて2年に1回程度「鉢増し(一回り大きな鉢への植え替え)」を行い、最終的には10号〜12号(直径30〜36cm)程度の鉢で管理します。
- 用土の配合:市販の「果樹用培養土」が最も簡単で安心です。自分でブレンドする場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の基本配合に、川砂を1割ほど混ぜて水はけを強化します。
- 水やりの頻度:鉢植えは地植えと違い、土の量が限られているため非常に乾きやすいです。春〜秋は1日1回、真夏は朝と夕方の2回、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。「土の表面が乾いたら」が合図ですが、夏場は水切れが命取りになるので特に注意してください。
- 置き場所:日当たりの良いベランダやテラスに置きます。コンクリートの床に直置きすると、夏場は熱が伝わって根が煮えてしまうことがあるため、ポットフィート(鉢足)やスノコを使って床から離し、風通しを確保しましょう。
おすすめ品種:矮性ネクタリン
鉢植え専用とも言える「矮性(わいせい)品種」を選ぶと管理が楽になります。例えば「ネクたん」などの品種は、遺伝的に樹高が低く(50cm〜1m程度)、節間が詰まっているため、剪定をしなくてもコンパクトにまとまります。春には美しい花が咲き、観葉植物のような見た目で美味しい実も楽しめるため、ベランダガーデナーに大人気です。
桃の木の大きさと小さく育てるコツ
桃の木は放任すると、樹高3〜5メートル、枝張りも3〜4メートルにも達します。狭い日本の庭では、隣家への枝の侵入や日陰問題など、トラブルの原因になりかねません。「植えたいけれど大きくなりすぎるのが怖い」という方のために、桃の木をコンパクトに維持するプロのテクニックをご紹介します。

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1. 矮性台木(わいせいだいぎ)の苗を選ぶ
苗木を購入する際、「品種」だけでなく「台木」にも注目してください。「YD苗(Y-Dwarf)」と記載された苗は、木を大きくしない性質を持つ台木に接ぎ木されています。これを選ぶだけで、通常の苗木に比べて樹高を半分以下に抑えることが可能です。初心者の方は、まずこのYD苗を探すことを強くおすすめします。
2. 植え付け時の工夫(根域制限)
木の地上部の大きさは、地下部の根の量と比例します。つまり、根が広がるスペースを物理的に制限してしまえば、木はそれ以上大きくなれません。地植えの場合でも、「不織布ポット(ルートコントロールバッグ)」などに植えた状態で地面に埋めることで、根の成長を抑制し、コンパクトな樹形を維持できます。これは、将来的に移植する可能性がある場合にも有効な方法です。
3. 剪定による高さのコントロール
物理的に枝を切って高さを抑えます。植え付け時に主幹を50cm〜60cm程度の低い位置で切り(切り戻し)、そこから出る枝を横方向に伸ばすように仕立てます。また、毎年冬の剪定で、上に強く伸びようとする枝(徒長枝)を元から切り取り、横に広がる枝を残すように意識することで、脚立を使わなくても手が届く範囲で管理できるようになります。
桃の木の実を収穫するポイント
花が咲き終わると、いよいよ小さな赤ちゃん桃が顔を出します。ここから収穫までの数ヶ月間が、栽培者の腕の見せ所です。ただ実がなるのを待っているだけでは、お店で売っているような立派な桃にはなりません。「摘果」と「袋掛け」という2つの重要な作業を通して、実を大切に育て上げましょう。
摘果(てきか):勇気を持って実を減らす
桃は1つの枝にたくさんの花を咲かせ、多くの実をつけますが、その全てを育てようとすると養分が分散してしまい、全ての実が小さく、甘くないものになってしまいます。また、木の体力を奪い、翌年実がならなくなる「隔年結果」の原因にもなります。そこで、心を鬼にして実を間引く「摘果」を行います。
- 時期:満開から30日後(予備摘果)と、60日後(仕上げ摘果)の2回に分けて行うのが理想です。生理落果(自然に実が落ちる現象)が落ち着いた頃が目安です。
- 残す基準:
- 長い枝(30cm以上):2〜3個
- 中くらいの枝(15〜30cm):1〜2個
- 短い枝(10cm以下):実はつけない(葉っぱ専用の枝にする)
- 葉果比(ようかひ):健全な葉20〜30枚につき、果実1個というバランスが理想的です。
- 選び方:上向きの実は日焼けや雨の影響を受けやすいので取り除きます。下向き、または斜め下向きで、形が良く傷のない実を残しましょう。

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袋掛け:実を鉄壁の守りで保護する
摘果が終わったら、すぐに「袋掛け」を行います。ホームセンターなどで売っている桃専用の果実袋を使います。
袋掛けのメリット:
1. シンクイムシなどの害虫の侵入を防ぐ(無農薬栽培の切り札)。
2. 雨による細菌性の病気(黒星病、せん孔細菌病)を防ぐ。
3. 枝擦れや強い日差しによる果皮の硬化を防ぎ、見た目を美しくする。
隙間があるとそこから虫や雨が入るので、袋の口をしっかりと枝に巻き付けて縛るのがコツです。

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収穫のサインと方法
品種ごとの収穫時期が近づいたら、袋の底を破るか、袋を外して実の状態を確認します。地色(ベースの色)が緑色から乳白色〜黄色に変わり、桃特有の甘い香りが漂ってきたら食べ頃です。実を優しく手のひらで包み込み、枝の方向(真上)に持ち上げるように軽く回すと、完熟していればポロッと簡単に枝から離れます。無理に引っ張らないと取れない場合は、まだ少し早い証拠です。

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樹形を整える桃の木の剪定
桃栽培において、多くの人が最も苦手意識を持つのが「剪定」です。「切りすぎて枯れたらどうしよう」「花芽を切ってしまったらどうしよう」と不安になりますよね。しかし、桃は非常に萌芽力(芽を出す力)が強い木なので、多少失敗してもすぐに新しい枝が出てリカバリーできます。基本の型である「開心自然形」を目指して、思い切ってハサミを入れましょう。
開心自然形(かいしんしぜんけい)とは?
字の通り、「心を配って(中心を開けて)自然な形にする」樹形です。主幹を短く切り、そこから3本程度の主枝をY字型、あるいは盃(さかずき)状に広げます。
メリット:
・樹冠の内部まで日光がたっぷり当たるので、実の品質が揃い、色づきが良くなる。
・風通しが良くなり、病害虫が発生しにくくなる。
・樹高が低く抑えられるので、脚立作業が減り安全に管理できる。

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冬季剪定(12月〜2月)の手順
葉が落ちている休眠期に行う、メインの剪定作業です。
- 「3D」を取り除く:Dead(枯れ枝)、Diseased(病気枝)、Damaged(折れたり傷ついたりした枝)を最初に見つけて根元から切ります。
- 混み合った枝を間引く:内側に向かって伸びる枝(内向枝)、他の枝と交差している枝(交差枝)、平行に伸びている枝などを間引き、枝と枝の間隔を空けて日当たりを確保します。
- 結果枝(実がなる枝)の切り返し:花芽がついている良い枝(30cm以上の長果枝)は、先端の1/3〜1/4程度を切り詰めます。これにより、残った芽に養分が集中し、良い実がなります。
- 徒長枝(とちょうし)の処理:背中から真上にズドーンと伸びている太い枝は、花芽がつきにくく樹形を乱すので、基本的には根元から切ります。ただし、枝が少なくて空間が空いている場合は、紐で横に引っ張って(誘引して)寝かせることで、来年の結果枝として利用することも可能です。
剪定後のケアを忘れずに
直径1cm以上の太い枝を切った場合は、切り口が自然に塞がるのに時間がかかり、そこから雨水や雑菌が侵入して木が腐る原因になります。「トップジンMペースト」や「カルスメイト」などの癒合剤(ゆごうざい)を切り口に塗って、乾燥と菌から守ってあげましょう。
桃の木のある庭づくりのまとめ
桃の木は、春の華やかな花見から、初夏のエネルギッシュな新緑、そして盛夏の甘美な果実の収穫まで、季節の移ろいを五感すべてで楽しませてくれる素晴らしい庭木です。「庭に植えてはいけない」という古い迷信も、現代の栽培技術と正しい知識があれば恐れるに足りません。むしろ、風水的には東や南東の方角に植えることで、家運を向上させ、家族に活力をもたらす幸運のシンボルとなり得ます。

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確かに、剪定や病害虫対策などの手間はかかりますが、日当たりと水はけの良い場所を選び、少しの愛情をかけてあげるだけで、スーパーで買うのとは比べものにならないほどジューシーで香り高い完熟桃を味わうことができます。それは、手間をかけた人だけに許された最高の贅沢です。鉢植えや矮性品種を選べば、広い庭がなくても大丈夫。ぜひ、あなたの庭やベランダに桃の木を迎えて、実りある豊かなガーデニングライフを始めてみてはいかがでしょうか。


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