こんにちは。我が家に植えたい庭木ナビ 運営者の「toki」です。
庭木の剪定を自分でやってみたいけれど、いざハサミを持つと「どこを切ればいいのかわからない」「失敗して枯らしてしまったらどうしよう」と不安になってしまうことはありませんか。実は剪定という作業は、単に枝を切るだけではなく、庭木の種類に合わせた適切な時期やカレンダーを知り、忌み枝と呼ばれる不要な枝を見極めることが成功への近道です。この基本さえ押さえておけば、難しい技術がなくても庭木を元気に美しく保つことができます。
記事のポイント
- 庭木の健康を守るために剪定が必要な本当の理由がわかります
- 樹種ごとに異なる剪定のベストな時期やタイミングを把握できます
- 切るべき枝と残すべき枝の見分け方が図解イメージで理解できます
- 初心者でも安全に作業するための道具選びと失敗しないコツが学べます
庭木剪定の基本知識と重要な時期
庭木剪定の意味と必要性
「剪定(せんてい)」という言葉を聞くと、多くの人は「伸びすぎた枝をバサバサと切って、木のサイズを小さくすること」をイメージするかもしれません。しかし、私たち人間が庭木に対して行う剪定には、単なるサイズ調整以上に、植物の生命活動を支えるための深い生物学的な意味があります。これを理解することが、剪定上手への第一歩です。
本来、自然の山林に生えている木々は、誰に剪定されなくても立派に育ちます。では、なぜ庭木にはハサミを入れる必要があるのでしょうか。それは、「庭」という環境が自然界とは大きく異なるからです。山林では、木々は光を求めて競争し、不要な下枝は自然に枯れ落ちて(自己剪定)、強い枝だけが残るという淘汰が行われます。一方、庭という限られたスペースでは、根が伸びる範囲も制限されており、十分な栄養や水分を確保するのが難しい場合があります。
そのような環境で枝葉ばかりが茂りすぎると、根の吸収能力に対して葉からの水分の蒸散量が上回ってしまい、木全体が水不足に陥る「生理的なアンバランス」が発生します。また、過密になった枝葉は、本来木が必要とする日光を遮り、光合成の効率を著しく低下させてしまいます。つまり、剪定とは、人間が介入して枝葉の量を調整し、根の能力に見合ったバランスを保つための「生理機能の最適化」プロセスなのです。

↑イメージ:我が家に植えたい庭木ナビ
また、剪定は木にとっての「外科手術」であり、同時に「健康診断」でもあります。定期的に木に触れ、不要な部分を取り除くことで、木は若々しい枝を伸ばし、花や実をつけるエネルギーを温存することができます。剪定は木を傷つける行為ではなく、庭という人工的な環境で木が長く健康に生きるための手助けであることを、まず心に留めておいてください。
庭木剪定の目的を正しく理解する
私が庭づくりを始めたばかりの頃は、剪定の目的といえば「隣の家に枝がはみ出さないようにする」や「通路の邪魔にならないようにする」といった、人間側の都合ばかりを考えていました。もちろん、近隣トラブルを防ぐマナーとしての剪定も非常に重要ですが、植物の立場から見た場合、剪定には以下の3つの重要な目的が存在します。

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剪定が果たす3つの機能的役割
- 生理機能の向上(光と風の確保):
木の内側(懐)にまで日光が届くようにすることで、内側の葉の光合成能力を維持します。また、風通しを良くすることで蒸散(葉から水分を出す活動)をスムーズにし、根からの養分吸収を促進させます。 - 病理学的リスクの低減(病害虫予防):
枝が混み合って湿気がこもると、うどんこ病やすす病などのカビ由来の病気や、カイガラムシなどの害虫が発生しやすくなります。剪定で風通しを確保することは、農薬を使わない最も効果的な予防策となります。 - 構造的・美学的整姿(安全と美観):
美しい樹形を作るだけでなく、台風や積雪などの物理的な負荷に耐えられるよう、重心のバランスを整えます。枯れ枝や弱った枝を取り除くことで、落下事故などのリスクも回避します。
このように、剪定は「木の健康」「病気のリスク回避」「庭の美観と安全」という3つの要素を同時に満たすために行われます。特に初心者の方は、「形を整える」ことよりも、「風通しを良くして病気を防ぐ」ことを優先して考えると、どの枝を切れば良いかが見えてきやすくなりますよ。
庭木剪定で樹形を美しく整える
樹形を整えるといっても、初心者がいきなり松の木を日本庭園のように芸術的に仕立てたり、トピアリーのように動物の形に刈り込んだりするのは至難の業です。私が庭木ナビの運営を通して強くおすすめしたいのは、「その木が本来持っている自然な形(自然樹形)」を尊重するというスタイルです。
それぞれの樹木には、生まれ持った「なりたい形」があります。例えば、ケヤキならホウキを逆さにしたような形、コニファーなら円錐形といった具合です。この自然な枝の流れ(枝配り)に逆らって、無理やり四角く刈り込んだり、バッサリと高さを詰めたりすると、木は反発して不自然な方向に枝を伸ばし、かえって樹形が乱れてしまいます。
美しい樹形を作るコツは、全体のアウトライン(輪郭)からはみ出している枝や、流れを乱している枝だけを丁寧に間引くことです。これを「透かし剪定」と呼びますが、この手法を使うと、木漏れ日が地面に落ちるような、軽やかで涼しげな樹形に仕上がります。
また、樹形を整えることは、力学的(物理的)な安定性を確保することにも繋がります。上の方ばかり重くなっている木は重心が高く、強風で倒れやすくなります。剪定によって重心を低く、バランス良く保つことは、台風や大雪の際に枝が折れたり倒木したりするリスクを減らすという「防災上のメリット」もあるのです。見た目の美しさは、実は構造的な強さの表れでもあるんですね。
庭木剪定の時期と年間カレンダー
「いつ切ればいいの?」という疑問は、剪定における最大の悩みどころですよね。時期を間違えると、翌年の花が全く咲かなくなったり、切り口から樹液が止まらずに木が衰弱してしまったりと、取り返しのつかない失敗に繋がることがあります。
剪定の適期は、その木が「落葉樹」か「常緑樹」か、そして「花を楽しむ木」かどうかによって厳密に決まっています。植物の生活サイクル(フェノロジー)に合わせたカレンダーを頭に入れておきましょう。

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| 樹木のタイプ | 主な樹種 | 剪定に適した時期 | 理由と注意点 |
|---|---|---|---|
| 落葉広葉樹 | モミジ、サクラ、ウメ、ケヤキ、ハナミズキなど | 冬(12月~2月) | 葉が落ちて休眠している冬は、木へのダメージが最小限で済みます。また、枝ぶりがよく見えるので、不要な枝を見極めやすいのもメリットです。ただし、春の芽吹き直前に切ると樹液が溢れることがあるので、2月上旬までには済ませましょう。 |
| 常緑広葉樹 | シマトネリコ、カシ、ツバキ、キンモクセイなど | 春(3月下旬~4月) 初夏(6月~7月) |
寒さに弱いため、真冬の剪定は厳禁です。新芽が出る直前の春か、新芽が固まった初夏(梅雨入り頃)が適期です。秋の剪定は、冬の寒さに備えて軽い整姿程度に留めるのが無難です。 |
| 針葉樹 | マツ、コニファー、ヒノキ、ゴールドクレストなど | 春または秋 | 種類によりますが、基本的には暑すぎず寒すぎない時期に行います。マツの場合は春の「みどり摘み」、冬の「もみあげ」など独特のスケジュールがあります。 |
花木(かぼく)の剪定には特に注意が必要!
アジサイやツツジなど、花を楽しむ木の剪定で最も多い失敗が、「剪定したら翌年花が咲かなかった」というものです。これを防ぐための鉄則は、「花が終わったら、すぐ(直ちに)切る」ということです。
多くの花木は、花が終わった後の夏(7月~8月頃)に、枝の中で翌年のための「花芽(かが)」を作り始めます(花芽分化)。そのため、冬になってから「伸びすぎたから」と枝先を切ってしまうと、せっかく作られた花芽ごと切り落としてしまうことになるのです。花が終わった直後であれば、まだ花芽はできていないので、どこを切っても翌年の開花に影響しません。

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庭木剪定は初心者でも実践可能
ここまで読んで、「やっぱり難しそうだからプロに頼まないとダメかな」と弱気になってしまった方もいるかもしれません。もちろん、3メートルを超えるような高木の剪定や、松の木を美しく仕立てるような高度な技術が必要な作業は、安全のためにも造園業者などのプロに任せるべきです。
しかし、手の届く範囲の高さの木や、日常的なメンテナンス剪定(軽剪定)なら、初心者でも十分に実践可能ですし、むしろ自分でやることで木への愛着が深まります。大切なのは、最初からプロのような完璧な仕上がりを目指さないことです。
最初は、後述する「明らかに不要な枝(忌み枝)」を数本切るだけでも十分です。枯れた枝や絡まった枝を取り除くだけで、木は見違えるようにスッキリしますし、風通しが良くなって元気になります。これなら、樹形を大きく崩す心配もありません。「木を切る」という行為に対して恐怖心を持つのではなく、「木の散髪をしてあげる」「風を通してあげる」という優しい気持ちで向き合えば、きっと木も応えてくれますよ。
庭木剪定の基本手順と実践方法
庭木の剪定を自分でやる準備
剪定を始める前に、まずは適切な道具を揃えましょう。「弘法筆を選ばず」と言いますが、剪定においては「道具選びが仕上がりと木の回復スピードを左右する」と言っても過言ではありません。

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切れ味の悪い錆びたハサミで枝を無理やり切ると、切断面の細胞が押し潰されて(圧挫)しまいます。潰れた細胞は死滅し、そこから腐朽菌が侵入して木が腐る原因になります。スパッと鋭く切られた傷口は、人間でいう「かさぶた」にあたる組織(カルス)が形成されやすく、治りが早いのです。
これだけは揃えたい!基本の道具セット
- 剪定バサミ: 直径1.5cm〜2cm程度の枝を切るメインの道具。生木を切るのに適した「バイパス式(刃が交差するタイプ)」がおすすめです。自分の手のサイズに合ったものを選びましょう。
- 植木バサミ: 持ち手が大きく、刃先が細くなっているハサミ。細い枝のカットや、葉の密集した狭い場所での作業に適しています。
- 剪定ノコギリ: ハサミで無理に切ろうとすると刃が欠けるような太い枝(2cm以上)に使います。DIY用ではなく、切り屑を排出しやすい「剪定用(生木用)」を選んでください。
- 三脚(脚立): ここは非常に重要です。庭の土の上で作業する場合は、通常の4本足の脚立ではなく、必ず「3本足の三脚」を使用してください。幾何学的に、3点は必ず同一平面に接するため、不整地でもガタつかず安定します。4本足は必ず1本が浮いて転倒の原因になります。

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また、道具のメンテナンスも重要です。作業後は、刃についた樹液(ヤニ)を「ヤニ取りクリーナー」などで落とし、油を塗って保管しましょう。特に病気の枝を切った後は、ウイルスを他の木に移さないよう、刃を消毒することも忘れずに。
庭木剪定の図解で見る切る位置
枝を切るとき、皆さんはどこでハサミを入れていますか? 実は、枝の「途中」で切るのと、「付け根」で切るのとでは、その後の木の反応が天と地ほど違います。
基本となる「透かし剪定」では、枝を分岐点(付け根)から元ごと切り落とします。このとき、絶対に守ってほしいルールがあります。それは、枝の付け根にある「ブランチカラー(枝隆起線)」と呼ばれる、わずかに盛り上がったシワのような部分を残して切るということです。
ブランチカラーには、木の傷口を修復するための細胞分裂が活発な組織が集まっています。この部分を傷つけずに、そのすぐ外側で切ることで、切り口を覆う保護組織(カルス)が速やかに形成され、腐朽菌の侵入を防ぐことができます(防御層の形成)。

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逆に、ブランチカラーごとえぐり取るように切ってしまったり(フラッシュカット)、枝の途中を中途半端に残して切ったり(スタブカット)するのはNGです。特にスタブ(切り残し)があると、残った部分は枯れ込んでいき、やがて幹の深部へと腐りが進行してしまいます。これは国土交通省の資料などでも、街路樹管理における重要な技術として解説されています。
(出典:国土交通省『街路樹管理マニュアル』)
庭木剪定でどこを切るか見極める
「切り方はわかったけど、どの枝を切ればいいかわからない」という時は、「忌み枝(いみえだ)」を探してください。忌み枝とは、木の健全な成長を阻害したり、美観を損ねたりする「不要な枝」の総称です。
剪定作業の8割は、この忌み枝を見つけて取り除くだけで完了します。逆に言えば、忌み枝以外の枝は、理由がない限り残しておいて良いのです。

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優先的に切るべき「忌み枝」リスト
- 枯れ枝: 既に死んでいる枝。腐朽菌の温床になり、落下の危険もあるため、見つけ次第根元から切ります。
- 徒長枝(とちょうし): 幹や太い枝から、垂直にビュンと勢いよく伸びた枝。植物ホルモン(オーキシン)の関係で養分を独占し、花芽もつきにくい厄介者です。樹形を乱す最大の原因です。
- ひこばえ(ヤゴ): 木の根元から地面を突き破るように生えてくる脇芽。本体に行くはずの養分を奪ってしまうので、地際できれいに切り取ります。
- 絡み枝・交差枝: 他の枝と交差したり、巻き付くように伸びている枝。風で擦れ合って傷ができ、そこから病気が入ります。
- 逆さ枝・下り枝: 木の内側(幹の方)に向かって伸びたり、極端に下を向いたりしている不自然な枝。
- 懐枝(ふところえだ): 木の内側の込み入った部分にある細く弱い枝。日光が当たらず光合成ができないため、養分を消費するだけの「寄生枝」になりがちです。
失敗しない庭木剪定のやり方
初心者がやってしまいがちな最大の失敗、それは枝の途中でバツンと切る「ぶつ切り(寸胴切り)」です。
これをやると、植物の「頂芽優勢(先端の芽が成長をコントロールする性質)」が崩れ、切断面のすぐ下にある複数の眠っていた芽が一斉に起きてしまいます。その結果、切った場所からモジャモジャとした細い枝が大量に発生し(反発成長)、ホウキのような無様な形になってしまいます。これを防ぐためには、必ず枝の付け根で切る「透かし剪定」を基本にしてください。

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透かし剪定の基本ステップ
- 全体観察: まずは遠くから木全体を眺めて、完成形をイメージします。「どの枝が飛び出しているか」「どこが混み合っているか」を確認します。
- 掃除(枯れ枝除去): 枯れ枝や明らかに病気の枝を最初に取り除きます。これだけで視界が良くなります。
- 忌み枝の除去: 徒長枝、ひこばえ、絡み枝などを付け根から間引きます。上から下へ、奥から手前へと進めるとスムーズです。
- 密度の調整: 最後に全体のバランスを見て、枝が平行に並んでいる場合や、一箇所から車輪のように出ている場合(車枝)は、元気な枝を1〜2本残して他を間引きます。
剪定中は、こまめに木から離れて全体を確認しましょう。「迷ったら切らない」というのも大切な勇気です。一度切った枝は元に戻せませんが、切らなかった枝は来年また考えることができますからね。
高くなりすぎた木の剪定を自分で
「庭木が成長しすぎて、屋根より高くなってしまった」「電線にかかりそうだ」という場合、自分で高さを低くしたい(強剪定したい)と考える方も多いでしょう。
しかし、太い幹や主軸となる枝をバッサリ切る「芯止め」等の作業は、木にとって命に関わる大手術です。特に、一度に葉の量の半分以上を減らすような強剪定を行うと、光合成ができなくなり、根もダメージを受けて、最悪の場合は枯れてしまいます。

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高さが3メートルを超える木の剪定や、直径が5cmを超えるような太い枝の切断は、プロに相談することを強くおすすめします。脚立からの転落事故は、造園業の労働災害でも最も多い事例です。慣れていない方が高所でノコギリを使うのは非常に危険です。
もし自分で高さを下げる場合は、一度に低くしようとせず、3年くらいかけて徐々に小さくしていく計画を立てましょう。一年目は一番高い枝を少し下げ、次の年にまた少し下げる…というように、木に体力を回復させる時間を与えることが成功の秘訣です。
庭木剪定の基本を抑えて美しい庭へ
ここまで、庭木剪定の基本について長期的かつ詳細にお話ししてきました。
剪定とは、単に「枝を切って捨てる」作業ではありません。それは、植物生理学や物理学の法則に従って、木が快適に過ごせる環境を整えてあげる、人間と自然の対話そのものです。
最初は難しく考えず、「枯れ枝」や「徒長枝」を見つけて切ることから始めてみてください。それだけでも風通しが良くなり、木漏れ日が差し込むようになれば、庭の雰囲気はガラリと明るくなります。そして何より、手を入れた庭木が春に芽吹き、花を咲かせた時の喜びは格別です。ぜひ、今週末にでも愛用のハサミを持って、庭に出てみてはいかがでしょうか。

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